冷たい雨の中 午後遅く 竹橋へ
館内は程よい人出 で 新富町、浜町河岸、築地明石町 三点の前に
三人の女性がそれぞれに自分の生い立ち 現在 周囲のことを語りかけている。
画面の上で と 面 という言葉が適切でなく立体的な舞台を見ているようだ。
深み というのはこういうことなのだろう。
書の世界で目標としなければならないもの。
松園は 画業を振り返り、ずっとお人形遊びの楽しさを味わってきた というようなことを言っていたと 確かどこかで読んだことがあった。
松園も深水もその絵を前にすれば美しさ、技量の確かさにため息が漏れるが その切り取られた場面だけに対する感激のような気持ちがする。
ビデオで映し出される部分アップの全てに 微細な心配りの線、色があることがわかり ゾーッとしながらわくわくする。
そして 絵巻の中に繊細で暖かい筆致で書かれている文字も素晴らしいが その料紙の美しさに目を奪われた。
最近 作る職人さんがいないとかで 以前とは似ても似つかないものを同じ名前で売る店があるが その姿勢が許せない。
平安時代に遡って と言わなくても この近代の作品にこんな素晴らしい料紙を見て つい最近までそれなり普通に使えた良いものがなくなっていく今 を感じた。